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みなさんはフィギュアスケートの滑走順を気にしたことがあるでしょうか?
フリープログラムの滑走順は、ショートプログラムの順位が低い順から、と覚えていた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、今は滑走順の決め方に変更があり、その都度抽選を行って滑走順を決めているんです。
また、国際大会と国内大会(全日本選手権大会)など、大会によっても滑走する順番の決め方が異なるようです。
では、どのようにして滑走順が決められているのでしょうか?
ここでは大会ごとによる滑走順の決め方、そして選手にとって有利な滑走順があるの?といった疑問に、お答えしたいと思います。
フィギュアスケート滑走順の決め方は大会ごとに違う?
それではまず、大会ごとの滑走順の決め方について見てきたいと思います。
グランプリシリーズや四大陸選手権、世界選手権などは、世界ランキングを元に抽選が行われて、滑走するグループ分けをし、ショートプログラムの滑走する順番を決めています。
ただ、グランプリシリーズの最終決戦であるグランプリファイナルに関しては、他の大会と滑走順の決め方がちょっとだけ違います。
グランプリファイナルは、グランプリシリーズ6大会終了後に、ポイント獲得数が最も多かった上位6名が出場できる大会です。
そのため、滑走グループを分ける必要がないので、出場者6名によって抽選が行われ、演技する順番を決めることになります。
グランプリシリーズでのポイント獲得数が多い順に滑走をするのかな?と思ったのですが、そういったものは関係なく、抽選によって滑走順が決められているようです。
参考 フィギュアGPファイナル滑走順決定 宇野は最終6番、女子では紀平、宮原、坂本が連番スポニチ Sponichi Annex
フィギュアスケート滑走順の抽選方法は?SPとFSでの違いも
それでは次に、グランプリファイナル以外の大会の滑走順について、もう少し詳しく見ていきましょう。
グランプリファイナルに出場する選手は6名しかいないので、細かくグループ分けをする必要がないのですが、その他の大会では、ショートプログラムでは多くて第1グループから第5グループまで、各グループ6名に分けられ、第1グループの1番滑走から順番に演技を行います。
(大会によって、グループの数は異なることがあります。)
まずは、ショートプログラムの滑走順の抽選方法について説明をします。
【ショートプログラム(SP)の滑走順の決め方】
- ①世界ランキングをもとに6名ごとにグループ分けを行います。
- ②グループ内の上位3名、下位3名ごとに抽選を行い、グループ内の滑走順を決めます。
一度は世界ランキングの順にグループ分けをされるのですが、グループ内で抽選を行うため、必ずしも世界ランキング順に滑走するとは限らないようです。
【フリープログラム(FS)の滑走順の決め方】
- ①ショートプログラムの順位をもとに6名ごとにグループ分けを行います。
- ②グループ内の上位3名、下位3名ごとに抽選を行い、グループ内の滑走順を決めます。
以前は、ショートプログラムの順位が低い選手から滑走する、ということがあったので、フリープログラムの滑走順はショートプログラムの順位が低い順と覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在はフリープログラムの滑走する順番も抽選で決まるので、必ずしもショートプログラム1位の選手が、フリープログラムで最後に滑る(最終滑走)とは限らないのです。
それでは具体的に、フリープログラムの最終グループの滑走順を例に、見ていきましょう。
フリープログラムの最終グループはショートプログラム1位から6位の選手です。
この6名がどのようにして、フリープログラムの滑走順を決めるのか、というと・・・?
①ショートプログラム1位から3位の選手が順番に抽選を行います。
→ここでフリープログラム最終グループの4番滑走から6番滑走(最終滑走)が決まります。
②ショートプログラム4位から6位の選手が順に抽選を行います。
→ここでフリープログラム最終グループの1番滑走から3番滑走が決まります。
このように、①と②によって、フリープログラムの最終グループの滑走順が確定します。
ここまで説明してきたのは、いわゆる国際大会に関する滑走順の決め方なのですが、国内大会である全日本選手権大会になると、また少し滑走順の決め方が違ってきます。
全日本選手権大会の滑走順の決め方は、以下のようになっています。
【全日本選手権大会のショートプログラムの後半グループ(第4・5)に入れる条件とは?】
毎年12月に行われる全日本選手権大会(通称:全日本選手権)でも、ショートプログラムのグループ分けを行う際には、ランキングの順に抽選を行って滑走順を決めるのですが、その他にもショートプログラムの2つの後半グループに入れるためには、次のような条件があります。
- 日本スケート連盟の特別強化選手になっている
- グランプリシリーズに出場している
(グランプリシリーズに出場する選手は、全日本選手権に出場するための予選会が免除される仕組みになっています) - 全日本選手権の最終予選会である東日本および西日本選手権の上位選手
【全日本選手権大会ショートプログラムグループ分けの基準は?】
- ①ランキングの上位選手およびさきほどお伝えした後半グループに入る基準を満たした12名で、第4・5グループの滑走順の抽選を行います。
- ②その他の出場選手18名で、第1から第3グループの滑走順の抽選を行います。
このような抽選方法のため、ランキングのトップの選手が第1グループに入ることはないのですが、第5グループ(最終グループ)に入るとも限らないんですね。
【全日本選手権大会フリープログラムの滑走順の決め方は?】
フリープログラムに関しては、その他の大会と同じく、ショートプログラムの順位を元にグループ分けがされて、そのグループ内で上位・下位で抽選を行います。
全日本選手権2018フリープログラムの抽選会の様子がフジテレビ公式のyoutubeで見ることができますので、実際に見てもらった方が分かりやすいかもしれませんね。
選手たちの貴重なオフショットも見ることができますので、ぜひご覧になってみてください!
参考 【フジテレビ公式】全日本フィギュアスケート選手権2018<男子フリー滑走順抽選>youtube
フィギュアスケート滑走順で有利な順番は?
それでは最後に、フィギュアスケートの滑走順における有利・不利について見ていきたいと思います。
以前は、「後半に滑る選手の方が高い得点が出やすい」と言われていた時期もあったようです。
どういうことなのかというと、グループの後半に滑る方が選手にとっては自分の出番までの時間が長く取れることで精神的に落ち着けるということ、そしてジャッジとしても前半から高い得点は出しにくいといった心理的作用が影響するのではないか、と考えられるからです。
ジャッジも一人の人間ですから、さっきの選手より良かったという印象が残れば、点数を多く付けてしまうという心理も分からなくはないですよね。
しかし、ルールと合わせて採点方法も毎年見直されてきているので、ジャンプやスピンなどの基礎点からプラスマイナスの評価をするようになってからは、見た目での印象で点数が左右されるとか、滑走順で有利・不利があるといったことはないと言われています。
ですが、先に滑った選手の得点はその日の参考基準点とも言えるので、後半に滑る選手へのジャッジが厳しく、思ったより得点が伸びないという可能性も少なくないようです。
では、選手にとっての滑走順とはどのようなものなのでしょうか?
1グループごと滑走前に行われる直前練習(6分間練習)では、各選手が最終チェックを行いながら、リンクの上でウォーミングアップをします。
そのあとに本番が始まるわけですが、演技を終えて採点結果を待つまで、一人当たり5分から6分程度かかります。
それを考えると、そのグループの最終滑走の選手は、5人の選手の演技が終わるのを待たなければならないので、25分から30分程度、6分間練習から時間が空いてしまうわけです。
せっかく6分間練習でウォーミングアップをしてリンクの感触を確かめたのに、いったんスケート靴を脱いで、さらに30分、別のウォーミングアップエリアで走ったり、陸上でのジャンプのチェックをしたり、緊張感を保ったりしなければなりません。
自分の演技を終えるまで、他の選手の結果を知らないという選手もいるくらいですから、それだけ自分だけに集中する時間を過ごしていることが分かりますよね。
選手によっては、滑走順は関係ないという選手もいるようですが、この滑走順が好きという感覚を持っている選手もいます。
2018年平昌オリンピックで2大会連続で金メダルを獲得した羽生結弦選手もその一人です。
右足首の怪我のため、しばらく試合から離れていた羽生結弦選手の復帰戦となった平昌オリンピックのショートプログラム。
羽生結弦選手は最終グループの1番滑走で、つまり6分間練習を終えて、すぐの滑走だったんです。
演技後、羽生結弦選手は「滑走順にも助けられました」と言っていたことからも、グループの1番滑走というのは羽生結弦選手にとっては大きな味方となったようです。
でも、6分間練習であまり良い感触がないまま、すぐに本番を迎えて失敗をしてしまう選手もいますので、1番滑走が好きと言えるのは、それだけの練習量と自信がある証拠なのかもしれませんね。
フィギュアスケートの滑走順に関するまとめ
フィギュアスケートの滑走順の決め方について詳しくご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
2016年のグランプリシリーズのショートプログラムでは、全選手による抽選によって滑走順を決めることがあったので、当時ランキングトップグループにいた浅田真央選手が全体の3番滑走なんてこともありました。
ですが、今は再び世界ランキング順をもとにショートプログラムのグループ分けがされているので、グループごとに抽選をするとは言え、ランキングのトップ選手は後半グループに入ることが多いということが分かります。
シーズンごとにジャンプの基礎点や加点の付け方が変わったり、滑走順を抽選にするなどのルール改正がされているので、一昔前に比べると少しは平等に選手が評価されるようになったような印象がありますよね。
なお、この記事に掲載している情報は2018/2019シーズンの実態をもとに作成しているため、新シーズンで滑走順の決め方に変更があった場合には、加筆修正をしていきますので、予めご了承ください。