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スポーツ競技によって、選手寿命が短いものや長いものがあるかと思います。
少しでも長く現役を続けたいと思うのもまた、スポーツ選手自身の願いであったりするものですよね。
20代半ばにピークを迎えて30代で現役を引退するというようなスポーツもあれば、ゴルフのように50代を過ぎてもシニアプロとして活躍できるスポーツもあって、本当に様々だと思います。
そんな中、フィギュアスケートの選手は20代前半、長い選手でも20代半ばで引退する選手が多いなと感じたことはありませんか?
また、フィギュアスケートの選手は、16歳、17歳といった若い世代の選手が世界大会の表彰台に上がってびっくりした、なんてこともありますよね。
なぜフィギュアスケート選手は活躍する年齢が若く、引退する年齢も他のスポーツと比べて早いと感じるのでしょうか?
そこでここでは、なぜフィギュアスケートの選手寿命が短いのか、あらゆる角度から考察していきたいと思います。
体力的な問題というのも大きな理由の一つなんですが、その他にもあまり知られていない理由についても触れていますので、ぜひ最後までご覧になってみてくださいね。
フィギュアスケートの選手寿命が短い理由 体力的な問題
それではまず、フィギュアスケートの選手寿命が短い理由の一つ、体力的な問題について見ていきましょう。
フィギュアスケート選手の多くは、3歳から5歳といったとても幼い頃からスケートを始める選手が多いスポーツといえます。
フィギュアスケートは柔軟性も求められる競技ですから、身体が柔らかい幼少期に始めるというのは理にかなっていると言えるかもしれませんね。
その一方で、フィギュアスケートは身体にかかる負担が大きいスポーツとも言われているんですよ。
近年、フィギュアスケートの特にシングル競技では難易度の高いジャンプを跳ぶことも重要になってきています。
そのジャンプをしたあとに着氷するのは片足。
その着氷した片足には、どのくらいの衝撃がかかっていると思いますか?
なんと、片足には体重の5倍~8倍近くの衝撃があると言われているんですね。
例えば、体重50kgの人だったら、少なくとも250kg、多くて400kgの衝撃を片足で受けることになり、その衝撃を片足でバランスを取りながら氷の上に立たなければいけないんです。
うまく着氷できれば良いですが、失敗してしまった場合には転倒してしまいますよね。
むしろ、練習では転倒する方が多いのかもしれません。
そういった中で足首にかかる負担も大きく、足首を捻ったり骨折してしまったり、また足だけではなく、転倒の衝撃で腰や肩などを痛める選手も少なくないんですよね。
公に発表はしていなくても、世界トップレベルの羽生結弦選手や宇野昌磨選手でさえ、ケガと戦いながら試合に臨んでいるというのを、インタビューの端々から感じ取ることができます。
また、北京オリンピック2022でメダルを期待されていた紀平梨花選手も右足首のケガのため2021年の全日本選手権を欠場し、北京オリンピックへの出場も見送りました。
幼い頃から始めるスポーツであるがゆえに、身体への負担が蓄積されるのも早く、20歳を過ぎた頃には身体の限界が近づいてしまい、現役を引退せざるを得ない状況になってしまうことも多いようなのです。
フィギュアスケートの選手寿命が短い理由 経済的な問題
さて、フィギュアスケートの選手寿命が短い理由として次にご紹介するのは、経済的な問題についてです。
みなさんは、フィギュアスケートはお金がかかるスポーツだというのを耳にしたことはありませんか?
フィギュアスケートをやる上で欠かせないのは、衣装とスケート靴ですよね。
では、実際にどのくらいの金額がかかっているのでしょうか?
順番に見ていきたいと思います。
まずは衣装について。
さきほどもお伝えしたように、フィギュアスケートは幼い頃から始める子が多いので、最初の頃はできるだけお金を節約するために、お母さんが衣装を手作りすることも多いようです。
ですが、経験や年齢を重ねて国内大会や国際大会に出場するようになると、専門のデザイナーに発注するようになるため、トップ選手となると1着50万円以上はかかるのだそうですよ。
あの羽生結弦選手の衣装は、1着100万円とも言われるほど。
演技の振り付けにあった色であったり形であったり、曲のイメージにあった衣装を身に付けている選手もたくさん見かけますから、衣装もフィギュアスケートの大事な要素の一つであることが伺えますよね。
衣装にこだわりがある分、お値段も高くつきそうです。
続いてスケート靴について。
スケート靴って、実は靴とエッジ(刃の部分)はそれぞれ別のメーカーで販売されているのだそう。
私も知らなかったので驚きました。
実際にいくらくらいするのかというと、靴とエッジを合わせて11万円ほどで買えるものもあれば、靴本体で7~8万円、エッジで8万円前後もするものもあるのだとか。
靴も消耗品ですから、買い替える頻度が多くなるほど費用はかかることになります。
その他にフィギュアスケートにかかる費用としては、スケートリンクの使用料やコーチ・振付師の指導料、大会に出場するための費用・遠征費・交通費などが挙げられます。
トップ選手が海外に合宿に行く際の交通費やホテル代、コーチ・振付師に支払う日当なども自己負担なんだそうですよ。
そのため、スポンサーのサポートも大きな存在になってきます。
ですが、全ての選手にスポンサーがつくわけではないので、費用の自己負担が大きいというのは避けられないようなんですよね。
また、日本にはスケートリンクが少ないので、交通費を節約するために、親御さんがスケートリンクまで送迎するご家庭も多いとも言われています。
衣装を手作りしたり送り迎えをしたり、家族の支えも必要なスポーツなんですね。
フィギュアスケートの選手寿命が短い理由 その他&引退年齢の平均
これまで、フィギュアスケートの選手寿命が短い理由として、「体力的な問題」と「経済的な問題」について見てきましたが、その他に引退のきっかけとなる理由には、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
また、引退する平均年齢はどうなのでしょう?
そこで、この最後の見出しでは、フィギュアスケート選手の寿命が短い理由として挙げられる「進路のタイミングによるケース」と「摂食障害によるケース」について簡単にご紹介していきますね。
また、マメ知識として、一度引退をしたのちに再び現役復帰して活躍している選手についてもご紹介していきますので、フィギュアスケートで活躍できる可能性の大きさについても感じてもらえればと思います。
【進路のタイミングで引退するケース】
幼い頃から慣れ親しみ、人生と共に歩んできたフィギュアスケート。
その大好きなフィギュアスケートを辞める決断をするのは、とても勇気がいることなのではないでしょうか。
トップ選手であれば、この大会で優勝したら、国際大会でメダルを獲ることができたら、といった大きな目標を掲げることができたり、自分と向き合った結果、シーズン終了後に引退をすると決めることもできますが、人知れず全日本選手権出場を最後に引退をする選手や、地方の選手権大会が引退の場となる選手も少なくないのですよね。
そんな中で、引退を決意するタイミングの一つとしてよく目にするのは、進路です。
大学を卒業するまでは現役を続けて卒業と同時に引退する、大学院に進んで学びに集中するために引退する、といったところでしょうか。
2014年12月、全日本選手権終了後に突然の引退を表明した町田樹さんも、よりスポーツについて学びたいという理由から、翌2015年4月に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程へ進学されました。
また、ずっとフィギュアスケートしかしてこなかったために、一度は社会人として働いてみたいという理由から、引退をする選手もいるようですよ。
【摂食障害による活動休止や引退をするケース】
みなさんは、摂食障害で苦しんでいるフィギュアスケート選手が多いことをご存じでしょうか?
特に女子シングルの選手に多く見受けられ、一時的に競技を休んで復帰した選手もいますが、摂食障害が大きな理由となって引退した選手もいるんですよ。
例えば、すでに引退をされていますが、鈴木明子さんもそのひとりで、現役の頃に体型を気にするあまり拒食症になり、試合に出られないシーズンもありました。
また海外の選手では、ロシアのユリア・リプニツカヤさんも拒食症を克服できずに引退、カナダのガブリエル・デールマン選手やアメリカのグレイシー・ゴールド選手も拒食症やうつ病に悩まされたことがあると公表しています。
そして、あのロシアのエフゲニア・メドベージェワ選手も摂食障害で苦しんでいる選手のひとりなんですよ。
体重は少ないときで33kg、多いときで59kgと、26kgの変動があったそう。
2021-2022シーズンも大会には出場していませんでしたので、自分の身体と向き合い、ゆっくり調整しているところなのかもしれません。
また素晴らしい演技を見たいと思うのが、ファン心理でもありますよね。
体型を維持することに対する自分への追い込みや、活躍するほどに注目されることで受ける精神的なプレッシャーなどが摂食障害の原因になっていると言われています。
一人でも多く、摂食障害に悩まされる選手が減ることを祈るばかりです。
【フィギュアスケート選手が引退年齢の平均】
それではここで、フィギュアスケート選手が引退した年齢について見ていきたいと思います。
代表的な選手を男女別にピックアップして引退をした平均年齢を算出してみました。
●男子シングル
田村岳斗さん 25歳
本田武史さん 25歳
小塚崇彦さん 27歳
織田信成さん 26歳
無良崇人さん 27歳
町田樹さん 24歳
パトリック・チャンさん 28歳
ステファン・ランビエールさん 25歳
エヴァン・ライサチェクさん 29歳
ブライアン・ジュベールさん 30歳
男子シングル 平均26.5歳
なお、エフゲニー・プルシェンコさんは休養や復帰を幾度か経て、35歳で現役を引退されていますので、平均年齢を上げてしまうことを考慮し、計算から省かせていただきました。
●女子シングル
荒川静香さん 24歳
安藤美姫さん 26歳
中野友加里さん 25歳
鈴木明子さん 29歳
浅田真央さん 26歳
村主章枝さん 33歳
本郷理華さん 24歳
宮原知子さん 24歳
サーシャ・コーエンさん 25歳
サラ・ヒューズさん 18歳
ユリア・リプニツカヤさん 19歳
女子シングル 平均24.8歳
以上より、24歳から25歳くらいがフィギュアスケート選手が引退する平均年齢と言えそうです。
(補足)
※1:生年月日と引退発表の年度により、年齢に誤差が生じていることがあります。予めご了承ください。
※2:海外の選手は正式に引退を表明している選手が少ないため、引退時期が曖昧な選手は省いています。
【一度現役を引退して現役復帰を果たした選手】
一度現役を引退して現役復帰を果たした選手といえば、日本のアイスダンスペアで活躍中の高橋大輔選手ですよね。
高橋大輔選手は元々は男子シングルの選手で、2010年のバンクーバーオリンピックでは銅メダルを獲得、日本を含めてアジア人として史上初のメダリストに輝いた選手でもあるんです。
2014年10月に引退するも、2018年7月に現役復帰を果たし、男子シングル選手として再び2019年12月まで活躍。
翌2020年1月にアイスダンスに転向するとともに、村元哉中選手とアイスダンスのペアを組むことを発表しました。
2021-2022シーズンの四大陸選手権では、なんと結成2シーズン目にしながらアイスダンスの日本勢史上最高位となる銀メダルを獲得!
これは本当に凄いことです。
そして、引退はしていないものの、高橋大輔選手とペアを組んでいる村元哉中選手も元々は女子シングルの選手で、アイスダンスに転向した選手のひとりなんですよ。
アイスダンスはシングル競技とは違ってジャンプの要素がないため、選手寿命が長い傾向にあるのかもしれませんね。
フィギュアスケートの選手寿命まとめ
フィギュアスケートの選手寿命が短い理由や、引退を迎える平均年齢について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
やっぱり現役のスポーツを引退する年齢としてみると、若いなという印象を受けますよね。
フィギュアスケートは始める年齢が幼いことで身体への負担が多くなり、特にシングル競技は難易度の高い技も求められるため、身体を酷使することでケガの原因となることも分かりました。
また、フィギュアスケートを続けるにはお金がかかることや、摂食障害に悩む選手が多いことも知っていただけたのではないかと思います。
引退した選手であっても、オフシーズンに行われるアイスショーに出場されることも多いので、ぜひアイスショーもチェックしてみてくださいね。